English Education

0歳からの英語教育

こども英語、何から始める?
0歳から描く!英語学習のロードマップとアプローチ

「グローバル化でますます英語が必要な社会になる!」とは何十年も前から聞かれるフレーズです。しかし、多くの日本人が日常的に英語の必要性を感じているかというと…そうではないかもしれません。

コロナ禍により「社会のボーダーレス化」は加速しました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、どこにいても仕事ができる世の中になりました。以前は想像もつかなかったことですが、リモートワークとして在宅勤務はもちろんのこと、県外どころか国境を越えた場所で仕事をすることも可能です。「ワーク」と「バケーション」を組み合わせ、旅行しながら働く「ワーケーション」という働き方が生まれ、英語圏ではすでにリモート職専用の求人サイトも存在しています。


子どもたちが社会に出て働き出すころには、現時点での常識をはるかに超える展開となっている事は間違いないでしょう。
日本に居ながらにして海外企業で働くことも、一般的になっているかもしれません。
実感は乏しいものの、英語の必要性だけはあちこちで叫ばれているだけに「我が子には英語で不自由な思いをしてほしくない!」とお考えの親御様は非常に多くいらっしゃいます。
小学生の親が子どもに習わせたい習い事ランキング(リクルート社2017年)」では「英語・英会話」が堂々第1位を飾りました。

とはいえ、「英語の必要性は理解できる」だけど「何から始めたらいいか分からない…」
「いつ頃までにどれ位のレベルが求められるのか、想像がつかない…」「だからこそ親が焦ってしまう」
というお悩みは多く、ご相談いただくことも大変多い内容です。

そこでここでは「ゴール」からの逆算による英語学習のロードマップをご紹介させていただきます。
卒業後、社会人として独立するルートは人それぞれです。
今後は更に選択肢が増えていくと考えられますが、ここからは大学進学後、企業に就職するケースを一例としてシミュレーションしてみましょう。

コロナ禍により「社会のボーダーレス化」は加速しました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、どこにいても仕事ができる世の中になりました。以前は想像もつかなかったことですが、リモートワークとして在宅勤務はもちろんのこと、県外どころか国境を越えた場所で仕事をすることも可能です。「ワーク」と「バケーション」を組み合わせ、旅行しながら働く「ワーケーション」という働き方が生まれ、英語圏ではすでにリモート職専用の求人サイトも存在しています。

「ゴール」からの逆算による英語学習のロードマップ

英語学習の「ゴール」とはなんでしょうか。
就職活動、大学入学、高校入学、中学入学・・・
各段階で求められる英語力は異なりますが、ここでは「就職活動時、社会人として必要な英語力」から逆算してみましょう。

就職活動時(大学卒業までに)

一般的に、TOEIC600点以上を獲得できると就職活動時の履歴書に記載できると言われています。
有名企業・大手企業を狙うのであればTOEIC700点以上を目指したいところです。
また、入社後も、昇進昇格に際して一定のTOEIC点数を求める企業が多数あります。

<TOEICハイスコア=英語ができる?>

点数によるジャッジは一定の目安にはなりますが、TOEICハイスコアが獲得できれば仕事ができるレベルかというと、当然ながらそうではありません。
論理的思考力、説明力、表現力、分析力、コミュニケーション能力などは、母国語である日本語を通して乳幼児期から意識して培っていきたい能力です。

様々な考え方がありますが、ご両親のどちらかが英語圏の方、英語圏にお住まい、などの特別な環境でない限りは、乳幼児期から積極的にバイリンガルを目指す必要はないというのが私の考えです。
乳幼児期にはまず母国語である日本語で自分の気持ちを不自由なく適切に伝えられる言語力を大切にしたいものです。
言葉は思考をより明確にします。
つまり、ある一つの言語に十分精通することは、その人の思考力にも影響します。

大学入学までに(高校在学中)

2024年度から予定される大学入試改革では、民間英語試験の活用が検討されています。(2021年9月時点)
英検2級までは大学入試の基礎レベルの単語や文法が出てくるため、高校在学中に2級レベルに挑戦する事には意義がありそうです。

また、英語が重視される私立文系大学を目指す場合は、準1級レベルの水準が求められることも考えられます。

高校入学までに(中学校在学中)

英検の取得は高校受験に優位に働くケースが多いと言われています。
公立高校受験では、一部の学校において内申点の加点が期待できます。
多くの場合3級以上が評価の対象となる様です。

私立高校受験では、一部の学校において入学試験への加点等が期待できます。
扱いは学校によって様々ですが、2級~3級を保持することで有利に働くケースがあります。
ただし評価対象にならない学校もあるため、志望校によっての対応が必要となります。

また評価対象になるにせよならないにせよ、英検は定期的な実力チェックや小さなゴール設定として活用できるツールです。

中学入学までに(小学校在学中)

公立小学校では、2020年の小学校英語教育改革により、小学校3.4年生で週1コマの「外国語活動」、小学5.6年生で週2コマの「英語」の授業が始まりました。

小学校5.6年生の授業で初めて通知表で成績が付く教科としての扱いになります。
英語教育に精通した教員の不足やALT(Assistant Language Teacher)配置の地域格差などの問題点はあるものの、少しずつ対策が取られている状況です。
私立小学校では、学校によって特色が様々ですが、1年生から専任教師が英語授業を担当する学校はそれほど珍しくありません。

お子様が私立中学校への進学を希望される場合は、志望校によって受験対策が異なります。
「グローバル教育」掲げている一部の私立中学校では首都圏約300校中143校が入試科目として英語を導入しています。(2021年入試)また、問題内容は学校によって概ね英検3級~英検2級程度の設定が多く、一定の英検級取得者(英検2級など)は加点があるケースも見られます。

文部科学省が想定する小学校5~6年生の「英語」授業による到達目標は英検4級レベルですから、中学校受験で英語入試に挑戦する際は学校での勉強+αの努力が必要となりそうです。

一方で、中学受験に英語を利用しないという選択肢もあります。仮に英語教室に通っていたとしても、中学校受験対策のために小学校5~6年生で一旦教室をお休みないしは通塾頻度を減らすケースはよく見られます。(英語教室だけでなく、他の習い事も同様)

英検・TOEIC換算表


(参考)文部科学省 各試験団体のデータによるCEFRとの対照表(2016/3/25版)より
小学生~社会人までを通して、それぞれの段階、選択ごとに必要となる英語レベルの目安がお分かりいただけたでしょうか。

今回は仮に義務教育~高校進学~大学進学~就職といった前提で想定しましたが、それ以外の選択肢も沢山考えられるでしょう。ひとつの目安としてご認識いただけますと幸いです。
それでは、乳幼児期~小学校における英語教育については、どのような目的意識を持って、どのようなアプローチをしていくことが効果的なのでしょうか。

0歳からの発達段階に合わせて確認していきましょう。

ここまでで中学校入学のタイミングまでに培っておきたい英語力の目安がご覧いただけたと思います。

それでは、中学校入学までの乳幼児期~学童期における英語教育は、どのような目的意識を持ってどのような働きかけをしていくことが効果的なのでしょうか。0歳からの発達段階に合わせて確認していきましょう。

0歳から12歳までの発達段階に応じたアプローチとその意義

0 ~ 2歳
聴覚がすぐれた時期・話し言葉の敏感期
・英語音楽かけ流し
(大人も一緒に歌えるとなお良い)
・英語絵本の読み聞かせ
・英語での語り掛け
(挨拶・ほめ言葉・身近な単語などから。簡単なもので十分)
・子ども英語教室でのレッスン
3~5歳
~文字の敏感期~
0~2歳までの関わりにプラスして・・・

・あそびを通したアルファベットの
導入(パズル・絵本・迷路・かるたなどを活用)
・フォニックスの導入
(フォニックスソング)
~社会的行動の敏感期
お手伝いや大人とのやりとりがより上手になる時期~
・お手伝いしてくれる?お皿を並べてくれる?カーテンを閉めてくれる?など、日常生活に紐ついたお決まりの「ひとこと英語フレーズ」を使ってコミュニケーションをとる。

~検定試験目安~
ゲーム感覚で楽しめる子は、英検Jr.ブロンズ~ゴールドにチャレンジ。
強制はNG!
小学校1~2年
~文化の敏感期~
日本以外の広い世界に興味関心が広がっていく時期!
0~5歳のアプローチにプラスして・・・

・海外旅行、音楽、スポーツ、映画、TV番組、翻訳本、料理などを通して、海外への興味関心の種を蒔く時期。
・世界には日本以外の国、文化、言語があることを知る
・英語は勉強ではなく「コミュニケーションツール」である意識を持つ
・キッズ向けオンラインレッスンの活用
・サマーキャンプなどイベント参加
・子ども英語教室では、遊び→学習へ徐々にシフト(読み書き、単語習得、フォニックスなど)

~検定試験目安~
英検Jr.ブロンズ~ゴールド、
英検5級~
小学校3年~
これまでのアプローチにプラスして・・・

・子どもの興味関心に英語を掛け合わせていく環境設定
音楽が好き→海外の音楽、ミュージカル、海外アーティスト
お話が好き→海外文学、海外ドラマ、英語劇
スポーツが好き→海外スポーツ観戦など
公立小学校では「外国語活動」スタートする時期。(教育指導要領での目的:「聞く」「話す」を中心としたコミュニケーション能力の素地を養う)

~検定試験目安~
英検 3~5級
小学校5年~
~文化の敏感期~
日本以外の広い世界に興味関心が広がっていく時期!
・公立小学校では「英語」授業スタート
(教育指導要領での目的:「聞く」「話す」に加え、「読む」「書く」の育成も含めたコミュニケーション能力の基礎を養う)
習い事や家庭での関わりの中で英語に親しみがある子とそうでない子の差が大きくなる時期。
中学校受験にチャレンジする子は一旦英語から離れることも

~検定試験目安~
・公立小学校では「英語」授業スタート
(教育指導要領での目的:「聞く」「話す」に加え、「読む」「書く」の育成も含めたコミュニケーション能力の基礎を養う)
習い事や家庭での関わりの中で英語に親しみがある子とそうでない子の差が大きくなる時期。
(※)敏感期とは
子どもが成長する過程で、心身の発達をとげるために、ある一定の期間、強烈に「◯◯がしたい!」という強い興味・関心をもって熱心に取り組む時期のこと。

最後に

ここまで
〇「ゴール」からの逆算による英語学習のロードマップ
〇0歳から12歳までの発達段階に応じたアプローチとその意義
についてお話して参りました。

特に小さいうちは、子どもの興味関心に合わせてワクワクする世界を広げていくことが英語学習の土台となります。英語教育のプロの手も借りながら、是非ご家庭で楽しんでくださいね!